我孫子駅近くの賃貸マンション「F・TOUR」に設けられた、居住者専用ラウンジのインテリアスタイリングを担当しました。“まち”と“くらし”をゆるやかにつなぐ中間領域として、落ち着きと軽やかさを感じる空間を提案。
木の質感ややわらかなトーンの家具を基調に、空間に自然な余白を残しながら、滞在者がそれぞれの時間を過ごせる場所となるようデザインしています。
集合住宅の共用部でありながらも、誰にとっても“自分の居場所”として感じられる空間づくりを目指しました。
Lounge :
我孫子駅近くの賃貸マンション「F・TOUR」に設けられた、居住者専用ラウンジのインテリアスタイリングを担当しました。“まち”と“くらし”をゆるやかにつなぐ中間領域として、落ち着きと軽やかさを感じる空間を提案。
木の質感ややわらかなトーンの家具を基調に、空間に自然な余白を残しながら、滞在者がそれぞれの時間を過ごせる場所となるようデザインしています。
集合住宅の共用部でありながらも、誰にとっても“自分の居場所”として感じられる空間づくりを目指しました。
Outline :
所在地:千葉県我孫子市本町
主要用途:マンション居住者専用ラウンジ
設計:川辺直哉建築設計事務所
スタイリング:MATOMA LLC
施工:生和コーポレーション株式会社
竣工年月:2024年2月
室内面積:51.52㎡
このラウンジは、デザイナーズ賃貸マンション、F・TOUR(f-tour.jp)で暮らす人々にとって、日常の延長線上にある「もうひとつの居場所」をつくることを意図してスタイリングされました。家に閉じこもるでもなく、街に出るわけでもない、ふとした時間にふらりと立ち寄れる、気負いのない空間。そこには「用事がなくてもいられる」という心の余白があり、暮らしに小さな変化や余韻をもたらしてくれます。デザインにおいては、特定の用途や機能を過度に押し出すのではなく、訪れた人がそれぞれに「こう使いたい」と感じられるような、曖昧で自由な輪郭を大切にしました。住宅の共用部という性質を活かしながらも、使う人にとって私的な時間が流れる、静かで開かれた空間を目指しています。
ラウンジの中心に据えたのは、低めで包まれるようなソファと、天板の質感が引き立つローテーブル。くつろぎの姿勢を誘発する家具のスケール感と、それぞれの家具同士の距離感に配慮することで、居住者同士が干渉しすぎず、自然な距離で共存できる空間を構成しています。家具の脚元を軽やかに見せることで、空間全体の印象にも抜けが生まれ、限られた面積に圧迫感を与えないように意識しました。照明や素材の反射具合など、視覚的な印象にも配慮しながら、心の余白が感じられるレイアウトに仕上げています。
インテリアのスタイリングにおいては、マテリアルとカラーリングの調和を重視しました。木の素地感を活かした家具や、ニュートラルでややグレイッシュな色調の張地を選び、季節や天候によって変化する外の景色とも相性の良い、やわらかく落ち着いた空気感を演出しています。過度に装飾的な要素は排除し、自然素材が持つ静けさと温度感を活かすことで、訪れる人がそれぞれの時間を穏やかに過ごせるように。空間自体が主張するのではなく、滞在する人が主役になれるような空気感を大切にしました。
集合住宅における共用部は、ともすると「誰のものでもない場所」として感じられがちですが、このラウンジは「誰でも自分の場所として感じられる」ことを目指しました。たとえば朝のコーヒー、ちょっとした仕事、ふとした休憩——そんな日常の延長線に自然と入り込める空間です。配置したアートや植栽も、あえて「飾る」ためではなく、日常の中にそっとあるようにセレクトしています。空間に過剰な意味を持たせすぎず、訪れる人自身がそれぞれの過ごし方を見つけられる「余白」として存在することを願っています。
Detail 1
ソファのファブリックは豊かな表情が特長で、摩耗に強く毛玉にもなりにくい、耐久性にすぐれた生地を選定。
Detail 2
グレーの壁に合わせて、ミーティングテーブルはナチュラルなカラーを、形が特徴的なサイドテーブルはブラックを合わせてメリハリを。
Detail 3
インテリアと合わせてワシリー・カンディンスキーや、イシス・マアケスタッドのアートの他、アートブックも選書。