茨城県ひたちなか市に佇むインテリアショップ「Shinc Lab.(シンクラボ)」は、家具や照明、空間作りを通じて、人々の暮らしに幸せをもたらす特別な場所です。創業者である田中 友幸さんは、幼少期からインテリアへの情熱を育み、美容師の道から転向して現在のキャリアを築きました。
「ショップ名の『Shinc』は『幸せ(Shiawase)』と『Sync(一致する)』の造語です。私たちが目指しているのは、住環境提案を通して、お客様と幸せを繋ぐ事を実践・研究し続ける集団でありたいと思っています。」
創業から9年を迎えたShinc Lab.の成長の背景や、田中さんの仕事への思い、今後の展望についてお話を伺いました。
Profile
田中 友幸|Tomoyuki Tanaka
茨城県日立市在住。建築・インテリア・福祉の知識を活かし、インテリアショップ「Shinc Lab.」を経営。家具や照明を通じて、人々の幸せを追求し続けている。
インテリアへの興味|幼少期の模様替えと映画の影響
田中さんのインテリアへの関心は、幼少期に遡ります。アメリカ映画の全盛期に『ET』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を観て、実家の農家住宅と映画に登場するおしゃれな空間との違いに衝撃を受けたといいます。
「小学校2年生くらいから季節ごとに部屋の模様替えを楽しむようになりました。実家は部屋数が多かったので、それぞれの空間を実験場のように使っていました。」
中学時代にはインテリア雑誌を読み漁り、模様替えに没頭する日々。そんな幼少期の経験が、後にインテリアデザインへの道を切り拓くきっかけとなりました。

キャリアプランの転機|美容師からインテリア業界へ
田中さんは幼少期から美容師を目指していましたが、20歳の時に転機が訪れます。お母様が勤める美容室の経営者から店を継ぐ提案を受けたことで、自分の真の関心が美容師としての仕事そのものではなく、むしろ美容師が働く空間にあることを認識しました。
この気付きを受けて、田中さんは大学で福祉と情報学を学びつつ、インテリアデザインの専門学校にも通い、さらに他大学での講義にも積極的に参加しました。この多岐にわたる学びは、彼の専門知識を広げ、将来のキャリアの礎を築くことに役立ちました。
大学卒業後、田中さんは現場監督として働き、図面だけでは理解できない現場の実際を学びました。その経験を活かして住宅営業、設計、コーディネーター育成、展示場計画の総責任者として幅広い役割を経験し、最終的には独立に至りました。


「幸せ」を紡ぐ空間作り
田中さんがお店を作る上で特に重視しているのは、デザインそのものではなく、人々の快適さや幸福に焦点を当てた空間作りです。ショップでは、家具や照明を主役に据え、シンプルで雑音のない空間を提案しています。さらに、田中さんと彼のチームは、ただのインテリアショップを超え、お客様の家族以上のライフパートナーを目指すことを経営ビジョンに掲げています。
「それぞれのライフスタイルや体格、家族構成に合わせた家具や照明の提案を心がけています」
と田中さんは述べています。また、ショップの運営においては、スタッフとの絆も大きな役割を果たしており、同じ趣味嗜好を持つスタッフが集まることで、温かい家族のような雰囲気が醸成されています。

暮らしを彩る必需品
そんな田中さんの日常生活で欠かせないものについてお尋ねすると、
「心地よい空間を作り出すためには、選び抜かれた家具や照明が必要不可欠です。そして、音楽やアートも私の生活に深く根差しています」と語ります。特に、個々の作家によるアート作品は、彼の創造性に刺激を与え、日々の活力源となっていると言います。
「これらの要素が合わさることで、温かみのある幸福感を感じる空間が生まれます。私の仕事はそうした空間を提供することですが、自分自身もその恩恵を受けているのです」と田中さんは付け加えました。この情熱が、Shinc Lab.の心地よい店内環境に反映されているのです。

茨城県ひたちなかでの店舗立地選定
田中さんがショップの立地として茨城県ひたちなか市を選んだ理由について伺うと、彼は複数の要因を挙げました。
「お店の場所はどこでも良いと初めは思っていましたが、前職の会社が近くにあり、土地勘があったのが大きな理由です。さらに、現在の店舗を比較的安価で借りることができ、周辺にインテリアショップが少なかったため、競争を気にせずに済みます」と説明します。
また、田中さんは目的を持って来店してもらえるようウェブでの集客を重視し、「ウェブマーケティングに関しては、専門学校で学び、自分で運営できるようになりました。この地でショップを開くことは、多くの人にとって不便かもしれませんが、独自の魅力を持つ場所として確立したいと考えています」と続けます。
田中さんは、人通りの少ない場所であることの難しさを認識しつつも、「当時は無知だったと感じますが、お店を始めたいその一心で準備を進め、今では多くのお客様に支持されています」と振り返りました。

地域と繋がる活動と社会貢献
Shinc Lab.では、家具や照明を販売するだけでなく、日本各地のアートや生活道具を制作する作家さんとのコラボレーションを行い、地域の職人と協力して新しい商品を生み出しています。これにより、暮らしの道具の魅力を発信するイベントも手がけ、地域文化の振興に貢献しています。さらに、利益の一部を社会福祉施設に還元する取り組みを進めており、店舗活動を通じて社会全体の幸福に貢献することを目指しています。
田中さんは、「家具やインテリアは人を幸せにするための手段です。その先に、社会全体の幸せがあると信じています」と述べています。

世界一快適な福祉施設を目指して
田中さんの長期的な目標は、建築・インテリア・福祉の知識を生かした福祉施設の設立です。
「私が人生の集大成として実現したい事が世界一快適で、人々を幸せにする福祉施設を作ることです。これは私のキャリアの集大成であり、55歳までに必ず実現したいと考えています。」
田中さんは北欧諸国の情報、福祉、デザインに触れ、得た知識を基に、より良い未来を作るための挑戦を続けています。

Shinc Lab.とは
最後に、田中さんにとってShinc Lab.とは何かを伺いました。
「Shinc Lab.は、みんなの幸せを作るための場です。お客様、スタッフ、地域の方々、そして社会全体の幸せを紡ぐ存在であり続けたいと思っています。」
創業から9年の歳月を経て、Shinc Lab.は地域に根付き、多くの人々の生活に寄り添う存在となっています。その未来には、田中さんの変わらない情熱が光り輝いています。

Credit
Written by Ryu Kanari (MATOMA LLC)
Interviewer Tomoko Kawano
Photographed by Ryu Kanari (MATOMA LLC)
Links
Website|https://shinc.co.jp/
Instagram|https://www.instagram.com/shinc_lab/
DETAILS
Shinc lab. Hitachinaka
〒312-0003 茨城県ひたちなか市足崎1474-4
[Google Map]
定休日 : 水・木曜日(祝日は除く)、毎月第1火曜日
※詳細は店舗へお問合せください。